"配信"という形でのコンサートを目にする日が来る未来を私は想像した事がなかった。

King&Princeとして、あの大きな広い横浜アリーナのステージで、約2時間半のパフォーマンスをする彼らから見えた景色はどんな色だったんだろうかと私はずっと考えている。

カメラに向けられるあの優しい視線と目を見て、愛おしさで優しさで全てを抱きしめたくなると共に、ふいに誰もいない客席を見つめる色のない視線をみて、あの笑顔は標準装備のアイドルスマイルではなく、ファンの存在が彼をあたたかい笑顔にしていたんだとも感じた今回のコンサート。

「届いてるよ〜」と何度も伝えてくれたその言葉を聞く度に、胸がぎゅっと鳴って、どうか1mmでもいいから、この気持ちが届いていて欲しいと本当に強く願った。直接声を届けることができないとなると、私にはもう願うことくらいしかできないから、"ちゃんと届いてるよ"と、心の奥底からぎゅっと想いを寄せて願った。

"今回は会えないコンサートだったね" という紫耀くんの言葉。いつもは画面越しで会いに行くから寂しく思わないでねって元気になる種を心にくれる紫耀くんが、はっきりと"会えない"と言葉にした今回のツアー。誰にもどうすることのできないこの状況の中で無理やり飲み込んだ私の "さみしい" の気持ちをそっとすくい上げてくれたのは、やっぱり紫耀くんだった。

"背中をとんとんしたかった"と教えてくれた紫耀くんは、本当に本当に優しくて、その言葉を聞いた時、私は本当に全てを抱きしめたくなった。

このブログで何度も綴ってる気がするけれど、本当に演者とファンの関係って本当に言葉にするのが難しい関係で。ステージに立つ人には、こちら側が一人称として存在を見てもらえる日なんてきっと来ないし、こちら側の色々を知ることもない。逆に、こちら側も同じで。見ることが許されるのは本当に1部で、見ることが許されないその世界で起こっている色々は知ることができない。

それでも、お互いに必要不可欠な存在であることなのも間違いなくて。もしかしたら世の中で、1番不確かで不完全な関係性なのかもしれない。でも、お互いが不確かで不完全な関係だからこそ、色々な愛の形があって、色があって、今があるのかもしれない。

人の気持ちは、なんかのスイッチで考えてもいなかった方向に向かうことがある。だからこそ、今私自身が紫耀くんが大好きなことも、King&Princeが大好きなことも、奇跡だって思ってる。何か一つのタイミングや人との出会いがどこかで違っていたら、私は今こうして見返りを求めず、家族でも友達でもない誰かに対してここまで愛しいと感じたり、幸せであって欲しいと強く願ったりする自分とは出会えなかったかもしれないから。

世界が新しい何かへ変わりゆく時代の中、ジャニーズ事務所のアイドルとしてのプライドを誇示してくれた今回のツアー。「"新しい"だけがいいわけじゃなくて、僕らはそれでもこう在りたい」という強い意志を感じたコンサートでもあった。

去年とは比べものにならないほど多角的に魅せてくれたし、ダンスも歌も衣装も演出も格段にレベルアップしていて。でも魅せるエンターテイメントの核となる部分は変わっていなくて。

きっと当初予定していた構成ややりたかった演出、アルバムそのものだって変更があったと思う。走り出していたものを作り替えることはすごく気力が要るだろうと想像もできる。無人の会場、聞こえない声援、勝手が分からないなか一生懸命届けようとしてくれた彼らには本当に心からのありがとうを沢山伝えたい。そして、何より彼らの気持ちは真っ直ぐ受け取れた気がする。

ありがとう！またね！って何度も手を振る姿や、直筆の手紙と優しい声に涙が溢れてとならなくって。それでも陰る気持ちを必ず明るい場所に連れて行ってくれる彼らを通してアイドルの真髄を改めて感じた。

次は会えるコンサートにしようね、と言う言葉をこの3日間で何回聞いたか私は分からない。けれど、その言葉を聞く度に同じ気持ちなんだと感じたこの愛おしさだけは、次会える時まで大切に育てていきたい。

信じられないくらいのハイスピードで、大きな壁と山を駆け上がっていく彼らを、今私の中で好きという感情と共に、その姿を背中を見守ることができてること。それがどんなに幸せなことなのか、改めて感じました。

自分の中でこの気持ちが想いがいつまで生き続け、在り続けるのかは正直分からない。けれど、この気持ちがある限り、私はこの気持ちを大切に育てて抱きしめながら、全力で彼らを応援したいし、好きでいたい。

いつか奇跡が起こって、私の声が誰かに届いた時に、「この子に応援されててよかった」って思ってもらえるくらいなファンで在りたい。

2020.10